あなたを見ているときだけ世界は完璧だ

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callmeのit’s own wayに励まされるヲタクの自分語り

※ご注意:このテキストは、It's own wayの歌詞にかこつけた大量の自分語りが含まれます。うええ、と思った方は離脱することをお薦めいたします。


あれ、どうしたんすかこんな時間に。仕事忙しいんすか?あ、俺?俺は仕事終わんなくて泊まっちゃいました。いやまあ、終わんないですけどね。まあもう仕事しないでしょこんな時間に。よかったらいっしょにどうですか。

知ってますcallme?すげえいいんですよcallme。これね、It's own way って曲なんですけど。ちょっと、よかったら一緒に見てくださいよ。


callme / It's own way [Full ver] 20170526 YAMAHA GINZA STUDIO


この動画ね、フツーにyoutubeで見ると流してみちゃいますけど、大きめのモニターに全画面表示すると結構いい感じなんですよ。ちょうどね、銀座のヤマハスタジオに当日券で入って、後方真ん中あたりで見てる感じに近いんですよ。じゃあね、最初から行きますよ。

オシャレ?そうでしょうかっこいいんですよ、このロゴとかジングルとかね。この人達、ちょっと前まではDorothy Little Happyっていうグループにいたんです。人気者だったんですよ。中野サンプラザとかZEPP DIVERCITYとか埋めるくらい集客があって、そのままいったら武道館とかドームとかでライブするようになってたに違いないんです。

でも、この人たちは脱退したんですよ。僕はただのおたくだし、当時はよそのグループに夢中だったから事情はわかんないですよ。でもね、気持ちはわかる気がするんですよ。

僕は昔、大手にいたんすよ。ゾンビのやつとか格ゲーとか作ってる会社。でさ、俺、まあまあいけてたんすよ、当時は。なんすかその顔。まあいいや。いや、まあまあですよ。まあまあやれてたんで、一年目の終わりにはディレクターとかやってたんですよ。RPGのシナリオ書いたり。でもさ、大きな会社だし、好きなこと出来るわけじゃないじゃないですか。こんなん作っても売れねえよ、みたいな仕事もいっぱい回ってくるじゃないですか。
で、僕には中学からしょっちゅう喧嘩したり、でもいろんなこと一緒にやったりとかいろんなこと教えてくれたりする友達がいて、そいつは別のゲーム会社に先に入ってたんですよ。お前がそっちでいろいろ学んだら、一緒に会社作ろうぜ、って言ってくれてて、やるって約束してたんですよ。んで、就職して2年半立ったころ、出資者がみつかって、一緒にやろうぜって誘ってもらったんですよ。

まあ、そりゃやりますよね。なにしろ、何作ってもいいし、好きなスタッフ集めて、いつまででも作ってていい、っていうんだから。友達がプログラマー連れてきてくれるから、お前はデザイナー連れてこい、って話になって。で、そっちの大手でうまくて気の合う同僚や先輩に一緒に来てもらって。で、会社作ったことあったんですよ。まあ、そんなことすりゃあ訴えるのなんだのって脅されたりするし、仲間たちからも裏切り者呼ばわれたりするし。しょうがないですよね。途中まで作ってたゲームの製品版で、俺、殺されてますしw ゲームの中で。
当時はすっげえ生意気だったから、結構本気で天下獲ったるとか思っててw。ゲームの世界もプレステがでたばっかりで、今までのドット絵の世界が一気に壊れて、技術的には一気に変わった時期だったんですよ。コンビニ流通がはじまったりとか、いろいろ転換期で。今なら結構暴れられる、と思っていたけど、次に大きな変化がきたらもうダメかもわからん。
プログラマーって35歳限界説とかあるじゃないですか。ゲーム開発者もそんなもんだろうって思ってて。勝ち目がある時間ってそんなに長くねえぞ、って思って焦ってた面もあったんですよ。

それで、callmeさんね、この子達はアイドルじゃないですか。アイドルなんてさ、もっと持ち時間短いじゃないですか。いや、ほんとにそうかどうかはわかんないけど一般的には。
このちっちゃい子いるじゃないですか。富永美杜さんっていって、この人が曲作ってるんですよ。そう、曲。すごいでしょ?この曲はこの人が詞も書いてて。
こっちの華やかな感じの子が早坂香美さん。英語詞書いて、振り付けもこの人が中心でやってるんです。
で、この長身でショートの子がリーダーの秋元瑠海さん。るうなさん、ね。いい声でしょ。歌上手いんですよ。
三人ともすげえ才能あるんですよ。でも、もとのグループには絶対的なリーダーとボーカリストがいて、実績のあるミュージシャンがプロデュースしてて、この子達の才能はわりと行き場がなかったんですよ。焦ってたと思うし、でもきっと、もとのグループで続けたい気持ちもあったんじゃないかと思うんですよね。きっとさ、然るべき立場の人が、この子達の才能をちゃんと認めてくれて、このくらいの成功を収めたらこういう風な待遇で君たちの才能を活かせる場を作るから、それまで申し訳ないけどグループのパーツとして頑張ってくれ、って言ってくれてたら、やめなかったんじゃないかとも思うんですよ。俺みたいなのでも、ちょっと考えますもん。ましてやこの子達は、もう75%くらいは成功してたわけですから。

だからね、この歌の最初の部分の歌詞の、夢見てた今日を一歩踏み出す、の感じ、俺よくわかる気がするんですよ。夢見てた今日を「噛み締めて」踏み出すんですよ。噛み締めて、ですよ。それはさ、失ったものや失った可能性の重さと、手にしたものの価値を比べてるんですよきっと。
でも、やりたいんだって宣言しちゃってて、そのために沢山の人に影響も与えちゃってるから、やるしかない状況なんですよね。

英語詞の部分にその決意がそのまま書かれてます。


(以下、あやふやな和訳)
ここが特別な場所だってわかってるけど、踏み出さなくちゃ
幾つもの選択肢から、出ていくって決めたんだ。
今すぐ行かなくちゃ、だってそう決めたんだから。
このチャンスを逃すわけには行かない、ゲームはもう始まってるんだ、わかってる?



急に自由になるとさ、なんかこうふわふわして現実感ないんすよね。そこでしっかりしなきゃいけないのに、実感が伴わない。わくわくしてるのも勿論あるんだけど、鳴り響く鼓動を止められないのには、怯えも入ってると思うんですよね。

んで繰り返される英語詞がさ、ほんとに重くて。

テキトーに訳しますよ。まちがってたらすみません。


(以下、あやふやな和訳)
逃げ場はない、ストーリーはもうはじまってる
チャンスを掴め、誰に何を言われても気にするな
そこに痛みに次ぐ痛みしかなくても、もう一度それを受け入れるんだ
痛みを抱いて生きる。なんといっても私はそう誓ったんだから


そうやって始めちゃった以上、やりきるしかないわけですよ。俺は元の会社やもとの同僚に色々言われたりするくらいで済んだけど、この子達の場合は、まあネットやなんかでいろんなひとにいろんなこと書かれたり、言われたりするわけですよ。大好き、最高ってちやほやされてた10代の可憐な女子たちがですよ。
俺はね、その会社始めたときには、もうすでにその重さにはげんなりしてましたよ。誰かに色々言われたとかじゃなくて、これをやりきらないと自分自身を信用できなくなる、っていうことの重さに。
でもこの人達はすげえ強いんです。そういうのを何度でも受け入れてやるっていうんですから。しかもこの歌詞、何回も繰り返されるんですよ。そこにはすげえ強さも感じるし、義務感、言い換えれば呪いの重さも感じるじゃないですか。こんな素敵な子たちがね、そんな糞重い荷物を背中に背負って、それでもこんなふうに歌って踊っている。涙出るじゃないですか。俺はね、泣けて泣けてしようがないんですよ。

しかもこの曲のタイトルがさ、it's own wayですよ。そんなしんどい道が自分たちの道だって、受け入れるの嫌じゃないですか。でもね、この子達は逃げないんです。逃げないんですよ…。そのクソしんどい場所から、始めるっていうんです。

で、次の泣いて笑ってのところは、メンバー三人で苦戦して、苦笑したり小さな成功があったりする中でお互いの思いやりに触れたりする中で、それまで持っていた自信が打ち砕かれて、自分の拙さに気づいちゃうわけですよね。
俺も思いましたよ、すげー俺調子に乗ってたなって。大きな会社とか組織があったからできてたことを、自分の実力だって勘違いしてた部分って結構あるなって。で、仕事がうまく行かなくなってくると、あんなに我儘言ってはじめたことなのに、どんどんしんどくなっていくんですよ。状況変えたいからいろいろ効果の有りそうなことをやってみるわけですけど、そもそもそれまでだって別に手を抜いてるわけじゃないから、急に別なことやったってうまくいかないわけですよ。空回り、しますよね。
このコーラスで入る「行かないで」が痛切すぎて、いつもここで耳をふさぎたくなるんスよね…。
これはさ、だいぶ少なくなっちゃったけど、それでも残ってくれたファンが、櫛の歯がかけていくようにいなくなっていくのに向けてるコトバなんですよねきっと。そんなしんどいことってないですよ…。

callmeはね、鉄のチームワークを誇る三人組だから、それでも戦っていけるんですよね。そうじゃない組織だと悲惨ですよ。どんどんお互い疑心暗鬼に陥っていって、何人もいない仲間なのに、どんどん小さな単位に孤立していって、結果どんどんチームが弱くなっていっちゃう。
「しゃがみ込む心が残る」はね、実感としてわかる気がするんスよね…。いや、むしろね、ほんとにしゃがみこんじゃわないから心だけが残るわけで、それは恐ろしく勇敢だと思うんですよね…。

もう少しと手をのばすほど、のところは同じテーマの繰り返しですけど、ここも「always」が重い。なんで…いつもいつも…なんでこうなってしまうのか、っていう気持ちが込められてる感じするんですよね。

ほんでね、この曲は富永美杜さんが作ってるっていったじゃないですか。この人ね、特にしんどかったと思うんですよね。自分たちの才能活かしたいって言ってスピンアウトしたグループの中で、一番救済される才能はこの人の才能じゃないですか。この人が屋台骨だし、この人が感じていた責任の重さって、他の人と一緒じゃないんですよきっと。サンプラザでドロシーの解散発表した時、この人が一番不安そうで、座り込んでファンに離れて行かないでほしいって訴えた、っていうのを記事で読んだんですけど、まあ記事だからどこまで本当かはしらないけど、そう言われるとね、この子があの時そうなっちゃうのはわかる気がするんですよ。
クリエイティブは自分が支えなきゃいけない、というのも勿論そうなんだけど、自分の才能を生かすために、秋元瑠海さんと早坂香美さんを巻き添えにした、っていう意識もあったんじゃないだろうかと。で、自分が駄目だったら、結果を出せなかったら、一番大事な味方であり友人であるこの二人を地獄に引っ張っていってしまうことになってしまう。それはね、しんどいですよ。
僕もね、もとの会社からついてきてくれた仲間が何人かいたんですけど、僕に味方してくれた彼らのキャリアと生活を、他ならぬ僕のせいで破壊してしまうかもしれないプレッシャーは死ぬほど重かったです。起きていても寝ていても、数時間おきに思い出して決して自由になれなかった。消耗しますよ、それは。

きっと二人は、近くでそんな彼女をみていて、その気持ちも理解してたと思うんですよね。
「大丈夫ゆっくりと」
は実際に彼女たちから掛けられたコトバなんじゃないかと思うんです。あの時、はもちろん、サンプラザのあの時でしょう。二人がそうやって支えてくれるから、美杜さんは弱さを閉じ込めて、思い出の中に入れていくことができるんですよね…。リーダーとして矢面に立ってくれる同級生のるうなさん、太陽みたいに明るくて強いこうみさん、その人達との圧倒的な信頼関係が美杜さんを支える。

で、そうやって、出来たことダメだったこと、そしてそれでもなお三人で戦っていけるということを確認すると、「飾らない世界」に入れる。
虚栄心とか、予断とか、不安とか恐れとかを一旦置いて、それでもできることを考える、ってことだと思うんです。そしてそこから、これは、というものを見つけて、テーマとして光をあてる。ここから、ってコーラスがはいるように、ここで原点に戻るんですね。その状態の自分たちのことを、そっと光りだす、って言っている。そっと光りだせる、というのがね。この人の才能なんですよねきっと。そんなくちゃくちゃにされても、まだ「これができる」っていうのがこの人にはあったんですよ。
それはね、ほんとすごい。僕の場合は、開き直るしかなかった。自分で考えたものの中から一番マシと思えるものを、信じ込んでいるふりをするしかなかった。その程度の人間にはね、その状態のことを「そっと光りだす」とは絶対表現できない。どんな苦境にあっても、自分の才能にちゃんと価値があると思えるかどうか、それがホンモノかそうじゃないかを分けるような気がするんですよ。そうするためには自分の人生のテーマに選んだものに対して、どのくらい誠実でい続けられるか、ということが問われる。僕は体裁のために嘘をついたニセモノで、この人達は、まちがいなくホンモノの側だと思うんです。

んで次の英語詞をまたテキトーに訳しますよ。


(以下、あやふやな和訳)
がんばったぶん報われないことなんてよくある
沢山努力して、沢山失敗して、しばらく立ち上がれないことだってある
どしゃぶりの雨の中で立ち往生したってそんなに悪くない
恥ずかしいなんて思わない
だって私たちはずっとそうやってきたんだから
うまくやれる、愛を感じてゲームを楽しもう
時が過ぎればなんだって笑い飛ばせる
痛みを経ずに得られるものなんてないってわかってる
そうやって人生は続いていくんだ



ノーペイン、ノーゲインですよ?!もう、さー……かっこいいよね……。俺もこんなふうになりたかったですよ。かっこいいっていってもさ、新品のピカピカしたやつじゃなくて、この人達の形の傷がいっぱいついてるのがかっこいいんですよ。どうやったらこんな風に、真っ向から苦境に立ち向かえるんですかね。
僕もね、4年は耐えましたよ。でも、そこが限界だった。僕はね、そこで諦めたんです。自分に能力があるって信じるのをやめたんです。だから、彼女たちが眩しいんですよ。憧れるんです。そして、弱者として祈るとすれば、このゲームはクリアできるんだよって、僕に見せてほしい。彼女たちなら絶対できる。

僕の場合は、4年半で会社が潰れました。その時は、辛いよりも、正直言ってホッとしました。自分の愛する分野で、一番得意なことやって、それで結果が出ないってほんとにしんどくて、それから開放されてホッとしたことで、自分がどれだけ無理くりやってたかをわかってしまいました。

彼女たちはほんとにすげえ強いけど、無限に耐えられるわけじゃない。ゆらゆら入れ替わる景色、という表現からは疲れた感じ、心のキャパシティをだいぶ超えちゃってる感じが伝わってきますよね…。で、ここの(一人)ってコーラスがやっぱり重い。結局、三人しかいないから、それぞれの持場では一人ひとりが踏ん張るしかないわけだし。コーラスの部分、全部重いですよね。多分、誰か一人に吐かせるには重すぎるコトバを、みんなで分担してるように思えます。

で、吐息のように吐き出される
Whrere are you going?
I am still growing…
ですよ……

このyouはかつて自分たちを見てくれていたファンのことだと思うんですよね。他界していったファンに、私たちは今も成長し続けてるよ…って言ってるんだと思うんです。ファンにはファン側の事情もあるし、その原因が自分たちにあるかもしれないこともよくわかった上で、どうしてもそういう気持ちになっちゃうってことだと思うんです。そんなこと正直に言えます?それを敢えて歌詞にするっていうことに、すげーなって思います。
僕もね、そんな感じで会社辞めたじゃないですか。元の会社にもライバルとして仲良かったやつとかいたんで、会いたいな、とか、あいつならこんなときどう考えるかなとか思って、無性に会いたくなるときとかあったわけですよ。でも10年会えませんでした。あ、全部諦めてから10年です。カッコ悪すぎる、と思って。あいつらがびっくりするような仕事をすることが出来たら会いに行こうと思ってたけど、ダメだったから。

だからね、それだけ彼女たちが本気で戦ってて、そんだけしんどいんだな、っていうのをこの辺からも感じちゃうんですよね…。これは、やっぱり、日本語では言えない。で、この重い詞は、もっとも明るく強い早坂香美さんが引き受けるしかないんだと思う(まあ、英語にしちゃったから自動的にこうみんなのかもしれないけど)。

で、次のところですよ。メンバーがそれぞれ、垂直と水平に手を突き出すダンスするじゃないですか。これは、三角形なんだろうなって思うんですよ。斜辺がないけど、直角二等辺三角形
メンバーそれぞれが「私たちは三人で戦ってるんだ」っていうのを足がかりにして、少しづつ曲に疾走感が出てくる。
ここ最高に胸が熱くなりませんか。まるで、夜明け前の深い深い闇が徐々に白んでくるみたいな感じ。この人達はこうやって何度も何度もしんどい場面を乗り越えてきたんだろうなって思うんですよ。
そして疾走するようなダンス、なにかをかいくぐって前に進んでいくようなダンスと繋がって、香美さんから順番に順番に身体を激しく揺らしながらcallmeポーズするところね!ここがほんとにもう…。こんなにしんどい目に会ってるのに、まだ「私たちはもっともっとcallmeをやりたいんだ!!」って全身で叫んでるじゃないですか。圧倒されますよ。

それからここ、「愛しい歌」のところね。観客席をぐっと指差すところ。この、ぐっ、ぐっぐっ、と力を込めて押し込んでいく感じ。目の前の観衆にも、そう簡単に歌が伝わりはしないのをわかった上で、力ずくでわからせてやる!っていう動きだと思うんですよね。そしてその歌は観客席を突き抜けて空に向かい、世界に広がっていく…。ここは、野望であり、祈りなんだと思うんです。

えへへ、すいません。
長くなりました。そんな感じでね、現在進行形で戦っている人は「俺も頑張る!」って励まされるでしょうし、僕みたいにひねくれかえってる人にはひたすら眩しいし、callme灯台の光みたいな、夜更けに聞こえる汽笛のようなグループだなあって思うんですよ。大好きなんです。俺。

よかったら、これCDです。ごちゃごちゃうるさいやつがいないときに、もう一回聞いてみてください。
差し上げます差し上げます、大丈夫です。

あー、なんかもう明るくなってきちゃいましたね。
銭湯でも行きますか。ひとっ風呂浴びてちっとでも寝ないと、また明日身体が動きませんしね。

あははは、そうなんですよ、なんか頑張らなきゃな、って気持ちになりますよね、こんな負け犬でもね。
何回でも言いますけど、すっげえんですよ、callmeは。