あなたを見ているときだけ世界は完璧だ

kolmeさんを応援するblogです。

Do you know kolme? 〜アイドルがクリエイトすることに価値はあるか〜

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Do you know kolme?


大層なタイトルですが、本エントリは「Do you know kolme?」の感想エントリです。

■Intro
いやあ、びっくりしましたね。事前の試聴イベントや、LINE LIVEで最後まで伏せられていたのがこのIntroと2つのInterludeだったわけですが、ここまで衝撃を受けるとは思っていませんでした。
すごくカッコいい上に、歌詞がある。
香美さんが英語で自分語りをするわけで、これは聞き取らないわけには行かない。
でも歌詞カードがない。


ま「introすげえかっこいいです!歌詞カードほしいです!」
こ「introは歌詞カードないよ」
ま「(スマホを出して)ここまでは聴き取ったんですけど、このあと音楽が大きくて聴き取りにくくて」
こ「あ、がんばってくれたんだ!…もうちょっとがんばって」
ま「がんばりますけど、ダメだったら助けてください」
こ「(サムアップ)オッケ。思い出しとくw」
ということなのでがんばりました。頑張ったけど我ながらこれでいいのかわかりません。恥を忍んで公開するので、参考程度に御覧ください。(そして間違いがあったら教えてください)

Day by day, We experience and overcome many things.
Joy,anger,sadness,everything.
But everything will be for me no matter how painful.
The experience will surely be the key to someone sucsess.
Your efforts definitly be rewarded.
Life is short,I know what to do.
If you keep moving for,
Someone surely you like to effort.

We have a message
that we wanted to tell you
Our lives isn't something for simple
The never again can someone control us.

So now,
Right here

I want you to listen
So tell me now.

Do you know kolme?

まあ、聞き取りがおぼろげなのでほんとに参考にもならないと思うんですが、それでも、喜び、悲しみ、苦痛を糧に成長してここにたどり着いた、という宣言であり、ほんとにあなたはkolmeを知ってると言えるのか、という挑戦でもあるメッセージだと思います。これ、アルバムを味わう上で非常に重要だと思うんですけど、歌詞カードつけないところがkolmeさんだなー、という感じもあります。「言い尽くしてや何かある」ってことですよね。
※2020年3月18日、「かきくけkolme」内での香美さんの解説に従って英語詞を修正しました。

■Gotta look
まず、introからの流れで何かを思い出しませんか。緊張感溢れるイントロから、必殺のキラーチューンへの流れ。
初めて聴いた時、声が出ました。「あああああ、これが 1stアルバムはよかった、ってことか!!」そう、「Who is callme?」 のintroからStep by stepへの流れです。あの緊張感と高揚感が、より大きなスケールで蘇ってきませんか。
とはいえ、オタク何でも関連付けて考え過ぎ、って思ってました。
思ってたんですが、以下はフラゲ日のイベントでのA&R 福成さんとの会話です。

ま「アルバムリリースおめでとうございます」
ふ「宜しくおねがいします。」
ま「A&R MAI FUKUNARI、お疲れ様です」
ふ「あw。もう見た?」
ま「朝イチで受け取って4周聴いてきました」
ふ「いいね。どうだった?」
ま「いやもうなんと言ってもね、introからGotta lookの流れが衝撃的で。1stアルバムのIntroからStep by stepの流れを思い出しちゃいましたよ」
ふ「…伝わった」
ま「へ?」
ふ「…あの子達、それがやりたいって。…工夫したら、ちゃんと伝わるんだね。」
ま「…マジすか…。いや、伝わりましたね…。」
胸が一杯になって、特典会でサインしているお三方を見つめてしまいました。

厳粛なオープニングからクラップで加速して、一気にトップスピードに乗る爽快感溢れる曲ですが、「ノンフィクション」という視点で歌詞を読み込むと、富永美杜さんのこの10年余りを凝縮したような歌詞になっていると思います。
「思い出に変わる息苦しさと 時を重ね 好きになれた今の自分」という歌詞の重さですよ。Don't be afraidにも「呼吸さえも周りを気にしないとなの?」という歌詞がありましたね。やっていることを評価してもらえない時期の苦しさ、というのは彼女たちの共通認識としてあったのだと思います。
少女は苦境を乗り越えてたくましく成長して、世界に「私を見て」と叫んでいる。って、僕はそう思いました。(※個人の感想です。)

きっとこのキラーチューンの完成が見えたときから、1stアルバムの1曲めのような形で世に出したいと美杜さんは考えていたのではないでしょうか。
だけどHello kolmeでは「 The liar」という会心の一撃が出てしまった。だからアルバムの頭にこの流れをおくことができず、4thアルバムに積み残す形になったのではないでしょうか。ひょっとしたら、そのせいでこんなに早く4thアルバムが作られたのかもしれない(憶測)とすら思います。

■Get your control
そのままの勢いでGet your controlへ。アッパーチューンかつ、いつになくJ-POP的な印象の曲で、初めて聴いたときはこれでちゃんとkolmeの曲になっていることにへえー、ってなりました。サウンド的にも、シンセプラスピアノかアコギが鳴るのがkolmeサウンドな感じありますが、この曲はそういう点でもkolmeっぽくないところが新鮮です。
で、ね。Hijiさんの詞は20台後半女性のリアルを書いたいい詞だと思うのですが、なんというかテーマ的にこのアルバムの中ではやや浮いてる印象があります。
っていうのは、kolmeのお三方ほど、自分たちのcontrolをgetしてる人はいないからです。そのための5年間だったじゃないですか。
だから、このアルバムはそういう曲が多いんです。だから、これは曲がどうこうではなくて、アルバムの構成の話なのだとおもいます。
流れで言えば申し分ないので、歌詞に引っかかる僕の聴き方の問題だとは思うんですけど。
いろんなパートを外注する流れは大賛成なので、これは試行錯誤のひとつなんだと思います。後で書きますけど、RepeatやI live in hopeは超成功だと思いますし。


■Remind me…

そして表題曲Remind me...です。これが表題曲なのは僕は結構納得感がありまして。
というのは、この曲は瑠海さん版の Hello no buddyなんじゃないかと思うからです。僕が思うkolme楽曲の魅力のひとつは、ミドルからスローなテンポの曲にもきちんと宿るグルーヴ感で、Hello no buddyにもこの曲にも、単なるバラードで終わらないノリがあるのがとてもいいと思います。
そして、それに瑠海さんのストレートな詞が載るのですが、これが愛犬の死を題材にした渾身の詞で。昨年の夏くらいから、我々はずっと瑠海さんの愛犬ぷりんさんの消息を気にしていたわけですが、こんな形で知るとは思いませんでした。
でもね、そういうことも全て歌に込めて彼女たちは生きていく。「涙も笑顔も全部歌に込めるよ」(Oh Yeah)もそうですし、introで香美さんが言っていることもそう。そして、Repeatの詞にも繋がっていきます。
そしてそして、その曲と歌詞ががっちり噛み合う大サビの高揚感。ゆっくりと螺旋を描きながら空に舞い上がっていくような展開の中で、瑠海さんのフェイクやハーモニーが、思い出と寄り添いたい彼女の心情を強く焼き付けてくれる気がします。


■Interlude 1

そしてこのinterludeは、そんなRemid me…の後半のイメージを引き継ぎ、拡大するイメージです。完全に離陸した思いは、遥かな高空に到達し、彼女たちの来し方行く末を俯瞰する位置に到達します。そこには、彼女たちが自らの手で必死に刻み込んできた軌跡が一筋の長い道になって見えてくる。
そんな厳粛な気持ちになります。

■Repeat
これは本当にkolmeのテーマソングですよね。

泣いて笑ってをRepeatして 
Every day Every night Everything
重ねてく そのたび満たされるMy Heart
I have to make a music
この気持は失くさずに
また I have to make a music

というのは、Introで香美さんが宣言し、Gotta lookで美杜さんが、Remind me…で瑠海さんが実際にやってみせたことです。
この曲のラップでも香美さんが
「これは私の人生の話。喜び、悲しみ、経験したこと全てに価値がある。それがもし間違った未知だったとしても絶対後悔しない。
だって、努力は最後には報われるって信じてるから」
と歌ってる。この湧き上がるようなエネルギー、なおかつ、地に足の着いた力強さ。
それを自分たちで書いていたら、かなり自画自賛みたいな感じになってしまうと思うんですけど、それを工藤大輝さんという一流のクリエイターが彼女たちにふさわしいものとして書いてくださったことが嬉しいじゃないですか。
工藤さん、あなたは本当によくわかってくださっている。本当にありがとうございます。池袋Space emoのリリースイベントで「マネージャーがクルマでずっとRepeat掛けてるんだよね。気に入ったみたい」とkolmeさんたちが笑いながら語っていましたが、そりゃそうですよ!こんなものは娘が取ってきた賞状みたいなもんじゃないですか。
門間さんは嬉しくて嬉しくてたまらないんだと思いますよ。
そしてまた、この名曲に、Interludeで到達した高い空から、kolmeさんのこれまでの足取りを俯瞰すると、こんなふうにキラキラ輝いて見えた、というニュアンスが曲順によって付加されているのもたまらないポイントです。

■I live in hope
そして、視点は高空から地上のkolmeさんたちに戻ります。配信された時、この曲のイントロは、初雪が空から舞い降りるイメージで聞いていたんですが、この曲順だとカメラ移動する感覚もあって、非常に立体的な構成だと思います。この曲は過去と未来が結節する曲なんですよね。
僕はこの曲の詞が一行残らず大好きです。
kolmeの5年間をストレートに振り返り、今後の雄飛を誓う歌詞であるところももちろんなんですが、一番ぐっとくるのは「もし悲しみで全てを失くしたら思い出してよ この声と懐かしいあの日々」のところです。いつも謙虚でメンバーを立て、自虐ばかり言っている瑠海さんが、自分の声の正当な評価をちゃんとわかっていて、そこに自信を持っていることが伝わる歌詞で、僕としてはそれが涙がでるほど嬉しいです。DECO*27さんの作風と富永節が融合したドラマチックな曲に載せて、瑠海さんの宣言が聴けるこの曲は、僕にとっては宝物になりました。
個人的に一番繰り返し聞いている曲がこの曲になります。
余談になりますが、この曲のタイトルを巡っては瑠海さんとディレクターのY田さんとの間で議論があったそうで、「Hope」というタイトルにしたい瑠海さんに対し、それはちょっと…というY田さんが「I live in hopeはどう?」という提案をし、瑠海さんは「えー」と思ったものの、数日考えてみて、それもいいな、となったのでこのタイトルとなったそうです。我々世代にとって、ピースやホープはタバコを思い浮かべちゃうので、良いタイトルになったと思いますが、瑠海さんにとって、これは希望の歌なんだな、というのがよく分かるので書いとこうと思いました。


■Brand new days
そして未来に真っ直ぐな視線を向けるkolmeさんの登場です。
この曲のデモは2019年の1月に完成し、2月は香美さんが作詞できるようにメロディもきっちり完成させたのに、フランスでは香美さんが締め切りをぶっちぎって書かなかったと美杜先生がぼやいておられましたが、その甲斐あって、とてもいい歌詞だと思います。新しいこと始めるときにこの曲を訊いて奮い立ちたいです。
この曲もテンポの速い曲ではありませんが、ここでも富永先生作品に宿るグルーヴ感が英語っぽく聞こえる日本語詞と結合して、燃える曲となっています。サビに入って、大きな軌道を描いて回転していた円が、「向かい風さえも  Got me singing」のところできゅっと小さくなって回転数が上る感じのところがすごく気持ちよくて、ライブで見てると体が動いてしまいます。
それとアウトロのダンスが大好き。お三方が同時に手をぽん、と打ってツイストするところ。あそこのダンスを見るたびに、この三人を永遠に見ていたい、って思います。

■Wonderland
美杜さんはディズニーのアリス好きなんですね。ディーとダムとか(僕が)だいぶ忘れてるキャラクターも歌詞に出てくるので、ちょっとびっくりしました。
まあまあ古いアニメではあるので。なので見たことない方もいるんじゃないかと思うので書くんですが、アリス イン ザ ワンダーランドって、常識的な目線で見ると結構恐怖を感じる映画なんです。何しろ、話しかけても常識的な反応が帰ってくるキャラクターがほぼいない。最初は薄ら笑いで見ているんですが、次第に鬱陶しくなり、最後は怖くなるタイプのやつ。芋虫が水パイプを吸うシーンとか完全にドラッグ描写ですしね。
(「ダンボ」にもトリップ描写がありますが、この時代のディズニーはそのへん平気でやってきます)
で、そういう世界観が富永節に乗せて歌詞に載るわけで、これはまたYou don't know meみたいな好き勝手路線かな、とおもうじゃないですか。
でもこれが違うんですよ。最後の1パラグラフで全部ひっくり返しに来る。この曲の歌詞にはそういう仕掛けがあって、終わってみるとGotta lookのテーマと似たところに着地しているという、ちょっとびっくりな曲です。
印象的なリフ、シンコペーション的に突入する大サビなど、サウンド的にも面白い、最新型富永節その1,という感じです。
あーそうそう、個人的には美杜さんが歌う「ワンダーランド」と香美さんが歌う「Wonderland」の譜割りが違うのが面白かったです。
香美さんのは「ワン・ダー・ラン」の3音節な感じですが、美杜さんのサビの歌詞は「ワン・ダー・ラ・ン・ド」の5音節で、ちゃんとカタカナに聞こえるんですよね。

■Why,Mr.?
で、こっちが最新型富永節その2です。
イントロのクラップはがんばりたい(急に現場目線)。そう思っちゃうくらい、雰囲気と溜めの効いたイントロ、Aメロからうねるように繋がるBメロ、更に無造作になだれ込むように突入するサビはスパッと断ち切るように終わる、富永節としか言いようのない展開は我々の大好物。
ですけどね、歌詞ばかり見て申し訳ないんですけど、この曲の歌詞は見過ごせないでしょう。
「困りはしないけど腑にも落ちない」に漂う圧倒的なリアル感。これは妄想じゃ出てこないフレーズ。
「顔だけ見て選んでるなら Goodbye」は瑠海さんも「流石うちのビジュアル担当。私は書けないわー」と笑っていた美杜無双なフレーズ。
そして例によって本音は英語に隠すスタイルで「That is has to be me(私のはずじゃね?)」は、日本語詞「私じゃないの?」と微妙にニュアンスが違うのも面白いし、直後の「友達があなたの彼女の写真を送ってくれた」とかも、現実に根ざしたリアル感が、今までの富永詞にはなかった要素です。「それはおかしいよ」も瑠海さんの声で聴くとソフトですけど「おかしいだろ?あ?」くらいのニュアンスですよね。
これどうやら、ほんとに男友達に彼女ができて疎遠になった、っていう体験を通して書かれた曲みたいなんですけど、こういうのが出てくると面白いですよね。
おたくとしてはほろ苦いですがw、多分、同世代女性に共感を得ようと思ったら、Get your controlみたいなのよりこっちの方だと思うんです。
実際、取材のたびに「男女の友情は成立するか」という議論になるそうなので、それは記者さんたちにテーマが正しく刺さっているせいだと思います。
(ちなみに、僕も男女の友情は成立すると思いますよ。男性側が自分を律することができれば。)

で、これも美杜先生がワンダーランドを出てリアルワールドに帰ってきた、って内容と言えると思います。これまでの歌詞にはない、美杜さんの交友関係が垣間見える内容で、創作やコンテンツ消費にふけってばかりいるわけではない(失礼)んだな、ってわかるのは、嬉しいような寂しいような気持ちです。


■Deep breath
はい来ました、大人の修学旅行in山口の主題歌。
すっかりライブでも定番化しているこの曲ですが、落ちサビの「考え過ぎ。リラックスして」っていう英語詞を聴くと、肩の力が抜ける気がします。You'll be fineとこの曲は、kolmeさんの2大ヒーリング曲だと思います。
ダンスも凝っていて、1番と2番はフリが違うんですよね。特にサビのフリはどっちも軽やかかつ可愛らしくて、僕はこの曲も大好きです。
山口のときには、冗談でなく、この曲のおかげで会社もやめず、鬱になることもなかったと思います。


■Same mistakes
無機質なピアノのリフと複雑なリズムにうねるベースの上に重ねられる旋律で作られる、モノトーンのデザインのような端正な曲だな、と思って聴いていると「Never make same mistakes…」で始まる英語部分から一気に加速してぶん回された挙げ句、過去5年分まとめて転調する展開に持っていかれるトリッキーな曲です。「三度目はない」という歌詞の後で4度目の転調をする、歌詞と曲調がドッキングすることで生まれる「おいおい」と裏切られる感じとか、英語詞と日本語詞で自問自答するような部分があったりとか、おおっ!ってなるアイディアが入っていて、静かな入り方に油断していると大変なことになります。
そしてこの曲を聞いてると香美さんのボーカルの大人っぽさ、色っぽさをすごく感じます。
目覚めの悪い朝のようなけだるさが漂うヴォーカルは、そのけだるさ故に肉体に根ざしてる感じがあって、とても女性を感じてしまいます。
Hello kolmeの「Today's」で見せた花開くような艶やかさとはまた違う感じで、ヴォーカリスト香美さんの今後に更に期待が膨らみます。


■Up all night

2019年夏のテーマソングでしたね!
押しも押されもせぬライブの定番曲に成長したこの曲ですが、「限られた時間 今日が最後のように」という歌詞に代表されるように、過ぎていってしまう季節を惜しむ切なさのスパイスがよく効いていて、曲に高揚しつつ、「このライブが終わらなければいいのに!!」という泣きたくなるような気持ちを煽られるのがいいなあと思います。それとアウトロの三人が輪になって踊るところがすごくよく合いますよね。
一番激しいダンスパートのあと、クラップで再度上昇に転じる感じのところ、大好きです。


■Interlude 2
降りしきる雨音に溶けるように入ってくる優しい旋律は、kolmeさんのこれまでの5年間を端的に表現している感じがします。
今回のInterludeは全てRumbさんの手によるものだそうです。
Rumbさんはあまり体調がよくなくて、今回のヴォーカルディレクションはSame mistakesを除いてほとんどRyotaさんがやられたそうですが、アレンジやインスト曲はやはりRumbさんでないと、ということなのだと思います。

■Wherever I go
これは新社会人になる年齢であるkolmeさんが、同年齢の人たちに向けて「上京」をテーマに書いた曲だそうで、そう言われてみるとなるほど、って思いました。つまり、これはTo Shineを別視点から語り直したものと言えるんじゃないかなと思いました。
「変われる私きっと」という思いの裏には「まだここにいたいよ 寂しいよ」という思いがあったんだな、と。経験と自信を積み重ねて強くならないと、口に出せない言葉ってありますよね。だから、この曲を12/30のライブで聴くというのは、とても意義深いんじゃないかなと思います。なんというか、デビューから5年経って、強くなった自分たちで再スタートを切る感じ、でしょうか。
イントロのシンセの音はちょっと懐かしい音色がセレクトされていて、郷愁を誘うねらいなんじゃないかなと思いました。
スターダスト・レビューの「夢伝説」のイントロを思い出しました。とおい むーうかしのこーとっさー)
爽やかで、ちょっと寂しくて、でも前向きで、一つのサイクルを終えて次のサイクルに入るkolmeさんのアルバムのラストを飾るのにぴったりな曲だなと思います。

 

■まとめ
で、表題の話にようやく帰るんですけど。
プレイヤーとして、その道のプロが作った一流の作品を題材として、最高の表現を行うことにはもちろん素晴らしい価値があります。結局の所、聴衆にどれくらい感動を与えることができるか、だけが問題で、その作品を演者自身がクリエイトしているかどうかは問題ではない。
それはね、僕もそう思うんです。
今回で言えばRepeatにおいては(多分に富永節も入ってるし、アレンジはkolmeチームだけど)kolmeさんたちは演者として参加している部分がこれまでになく大きいと思います。そしてそれは、過去と現在を俯瞰するすばらしい作品になった。
でも、工藤さんにRepeatを書かせたのは、喜びも悲しみも全部歌にして生きてきた、kolmeさんたちの生き様があればこそなんです。そして、ここまでに書いたように、彼女たち自身が作っているからこそ、楽曲の随所から汲み取れるニュアンスというのは山ほどあって、それは演者と聞き手のコミュニケーションとしてとてもとても濃厚だと思うのです。


だから、こういう人たちがいていいし、いてほしい。そしてkolmeはそういうグループなんです。
この先時がたって、僕が全てを失って悲しみにくれる日がくるかもしれない。そんな時、kolmeさんたちが作ってくれた曲を聴いたら、作品を通して彼女たちから受け取ったもの(誤解も含めて)の片鱗を思い出せそうな気がします。
音楽って、遠い昔の位置場面や、その場所に匂いや雰囲気を蘇らせてくれることがあるじゃないですか。そういうタイムカプセルのようなものに、2019年の思い出をいっぱい詰め込んだものがこのアルバムだと思うし、このやり方ができるのはkolmeさんしかいないと僕は思います。

僕は、このアルバムのテーマは「kolmeは人生経験の全てを歌にして生きていきます」という宣言だと思っています。これまでに何度もされてきた宣言だけど、今回のアルバムは全曲がそちらを向いている気がします。

 

僕はそれが嬉しいし、改めて、そういうkolmeさんたちが大好きだなと思います。いいアルバムでほんとに嬉しいです。