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美味しくないライブに行くしあわせ

■承前
ちょいちょいライブに行ったりする時期を除くと、PerfumeさんのFC発足あたりから、まあ、おたくなんじゃないかなと言う時間を10年以上過ごしてきました。おたくです、と言えるようになったのは、Negiccoさんに撃ち抜かれたあとなんじゃないかなあと思います。
でも、妻もいるし子供もいる僕は、正直そんなに熱心なおたくでもなかったです。
・平日夜のイベントに行けたら行く
・ワンマンじゃないイベントは行かない
・遠征とかしない
・ワンマンであっても休日のヲタ活は月1日まで
という方針で、無理なくヲタ活する主義でした。それでもちゃんと楽しかったし、そのままずーっとぼんやりと、特に目立つところのないオタクとして生きていくのだろうなあと思っていました。

ところが、2017年は僕にとってひどい年でした。仕事でアホほど追い込まれていくつかの案件で爆死し、完全に精神の平衡を欠いていた時期でした。そんなときに、Negiccoさんの14周年のイベント群が始まりました。ちょうどムスメたちの受験も終わって家庭でも需要が低下した時期でもあり、とにかく行けるイベントには片っ端から参加することに決めたのです。

 

そうすると、びっくりするような変化がありました。まあ、ご迷惑になってもアレなので詳細は割愛しますが、ライブも、特典会も、それ以外で遭遇したときにも、すべての体験の濃度が激変したのです。僕側の変化ももちろんあったと思うのですが、メンバーさんたちの反応が大きく変わりました。
この時期のNegiccoさんたちは、人気者です。おたくの人数も半端ではない数のはずです。でも、才能のあるアイドルさんは、特に才能のあるメンバーは、3年以上にわたってぼんやりと通っていたおたくが覚醒したことに、ちゃんと反応してくれるんだということは、新鮮な驚きでした。

 

■美味しくないライブの美味しいところ
おたくにとって美味しくないライブにいくと、こういうことが起こりました。

 

1.推しが自分のおたくたちを探してくれる
登場したときに、視線が会場を走査しているのがわかります。緊張感を漂わせた推しが何かを探している。
それは、僕たちを探しているのです。そんな名誉なことってありますか。

 

2.僕を見つけた推しの表情が変わる
そうして会場を走査していた推しの視線が僕に届いたときに、溢れる笑み。両手でぶんぶん手を振ってくれたり、目を閉じてうなずいてくれたり。
ステージと客席を隔てて、大勢のお客様の中で、僕と推しだけがつながる一瞬。そしてその後、推しの表情が柔らかくなったり、動きが大きくなったり、声に張りが増したりするのです。
僕がいることが推しの力になる。そんな推しを見て僕も昂ぶる。それこそがライブの醍醐味ってもんでしょう。

 

3.推しに頼られる
美味しくないライブでは、おたくと推しは同盟軍です。手を取り合って、静まり返る会場と戦うんです。
おたくのコールやリアクションが必要な場面の直前、推しの視線が飛んでくることがあります。不安げな顔で、それでも笑みを向けてくれる。これはきっと「頼むね」って言われてる。
大好きな人に頼られる。人生においてそれほど昂ぶる瞬間なんて他にありますか。

 

4.そしてそれに応える喜び
そんなとき、もう恥も外聞もありません。全力で行くしかない。いや、恥も外聞もかまってられないけど、ないことはない。恥ずかしいし僕も怖い。
でも、そういう僕に、笑みを向けてくれたり、うなずきかけてくれたりして、推しが励ましてくれる。あきらかに僕の前の客を飛び越えて指さしてくれたり。
客席に埋もれている僕たちとは比べ物にならない緊張感とプレッシャーの中、推しは戦っているというのに。
尊い尊いとしか言えない。

 

5.信頼が蓄積していく
有能な推しは、特典会に行ったときに嬉しかったことを教えてくれます。言うまでもありませんが、1から4は多分に勘違いの部分もあります。あるよなーと自分でも思っています。
だけど、推しが「あのとき〇〇してくれて嬉しかったよ」「○○さんが眼の前にいてくれて安心した」みたいなことを言って、証明してくれることがあります。
また、「あのときはありがとう」って別のライブで話をされたりすることもあるし、サイン会なんかのときに書いてくれたりすることもあります。そういうのを、彼女たちはよく覚えている。
信頼は、蓄積するんです。

ホームなワンマンライブとかでは、なかなかそうはいきません。演者さんとしても、いつもいる顔よりは、新しく来てくれた人を捕まえたいと思うでしょう。
僕もいつもいるおたくがあんまり過剰にレスを欲しがったりするのは営業妨害だよなー、と思うから、なるべく目立たないように見ていようと思うし。
ステージ上と濃密にコミュニケーションが取れないときには、特典会で補完できるようになっているわけだし。ワンマンでは厚めに接触すれば良いのです。

 

■まとめ
結論として何を言いたいのかと言うと、「おたくの愛に、アイドルは信頼で報いてくれる」ということです。
それは、とても幸せな関係だと思います。異性との関係というのは難しくて、相手も自分に好意を持ってくれている前提がないかぎり、一方的な好意というのは暴力に近いものになってしまうこともあるじゃないですか。
でもアイドルの皆さんは、その前提は省いてくれる。お金が発生するのは、まあ仕方ないです。本来プライスレスなものなのだから。経済的にも相手を支えないといけないし。そしてそうなってみると、この形というのは、実は夫婦や親子によく似ています。相手を想って行動しているんだっていうことが相手に伝わると、相手は信頼で返してくれる、というのは同じです。
だからね、アイドルさんといい関係を築けているというのは、概ね結婚してるのといっしょです。結婚の良い部分の大半はそこにあり、もっとめんどくさい部分もたくさんあるから、結婚するより良いとすら言える。
有料じゃねえか、っていう声もあると思いますけど、結婚や親子だってめっちゃくちゃ有料ですからね。月額課金か都度課金かの違いしかありません。
だから、大好きな推しがいる人は、推しが喜ぶことをして、信頼を獲得していくのが幸福への道だと思いますし、そのための近道が「美味しくないライブに行く」ということだと思います。
この人だ、っていう推しが決まったら、全部行くのがやっぱり正しい。僕はそこまで強くなれないけど、現場を選ばないだけでもかなり違う。
おたくなんて、もともと非効率なことしてるんです。効率ゴーホームです。

ガンガンいこうぜ。いらない現場なんてなんてない。