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趣味は読書

履歴書なんかで「趣味」の欄があると、「読書」というのは書きやすい趣味です。フツーなら。だけどどうも、俺の場合は嘘書いてる感じがあるんですよ。一般にいう「読書」と、俺の「読書」は違う気がするからです。

まず、役に立つ本を読まない。なんというか、およそ書物というのは知的な興奮を呼び起こすためのもので、「役に立つから」とかそういう理由で読むようなさもしいことをしては勿体ないような気がするんですよ。どんなにその知識が必要であっても、単純にその欠落を埋めるためだけに本を読んでしまうと、ああ、しかるべきタイミングにこの本を読んだ時に体感されるはずだった愉悦は永遠に味わえなくなってしまった、とゆーよーな、大事に取っておいた味玉をラーメン屋の床に落としてしまった時のような気持ちのような、そんな気持ちになります。味玉は覚悟一つで食えますが、本のほうはそうはいかないのです。

さらに、読んだ本の内容をびっくりするくらい覚えてない。だから、同じ本を何度でも楽しめちゃう。コストパフォーマンス抜群。

それから、目前に迫った何かから目を背けるために読書することが多い、というのもあります。たとえば締め切りのきつい仕事を持ってしまった場合、とりあえず読んだことのない本を購入ですよ。買っても読む時間ないだろう、とお思いになるかもしれませんが、忙中おのずから閑ありというやつで、食事のとき、排便の時などなど、まあ、なんとかなるもんです。
こういうときには、ミステリなんかを買ってはいけません。エンディングまで止まれなくなる系は自殺行為です。また、あまり深く人生について考察するような内容のものも、死にたくなったり、仕事してる場合じゃないんじゃないかなどと考えだして退職の可能性を模索し始めたりするのでよろしくありません。SFの短編集なんかはいいのですが、SFというのは案外油断の出来ないジャンルで、ミステリ的にやめられなくなったり、深刻な問題についての示唆に富んでいたりすることがあるので注意が必要です。
こういう場合のベストチョイスは、池波正太郎さんの「剣客商売」シリーズだというのが私の意見です。短く分かれている上に、全男性をポワーンとさせるであろう設定がすごいのです。
主人公の秋山小兵衛は剣が強くてモテモテ(嫁さんは40歳も年下)でお金持ち、幕府の実力者(田沼意次)と昵懇、というスーパーマン。そのくせ、よくできた息子に道場は譲ってしまっているので好きなことをして暮らせちゃうのです。もうね、設定だけで結構お腹にたまる感じがあるじゃないですか。その上、ちゃんと読み物としても楽しくて、チャンバラには適度にドキドキできます。悪い奴は退治されるし、そのあと万事うまくいって弱った心をケアしてもらえます。おまけに、出てくる食べ物がみんなうまそう、というのも見逃せないポイントです。
なんというかね、遠い眼をしながら「いいねー」なんて呟いてしまうこと請け合いです。クソ忙しい時に読む「剣客商売」は格別の味わいですので、既読の方もぜひお試しください。


俺の言う読書ってそういうことですよ?って書いとかないとウソ臭いなーと思うんだけど、まあ、ちょっと履歴書に書くには長いので、今後も書かないと思います。

先日会社の先輩と取引先に行く道中、先輩が本を読んでいるので、何の本かと尋ねたら、ダッチワイフの歴史に関する本でした。「この人、わかってるわー」と思いました。