あなたを見ているときだけ世界は完璧だ

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滅びへの憧憬

Perfumeの「Love the world」もう買いました?初回限定版と通常版両方?僕はねー、スペシャルプレゼントに応募するのを忘れちゃいましたよ。ああああ、楽屋ご招待企画が…。
というようなことで、このボンクラはPerfume大好きで困ったもんなのですが、今のようなグダグダな状態に陥るきっかけとなったのは「エレクトロワールド」のPVでした。なんというか、PSGのゲームミュージックを聴いて育った世代としては、懐かしく慕わしい音がいっぱいなんですよねー。

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曲がカッコイイというのは勿論なのですが、それ以上に、「女の子に滅ぼされる仮想現実世界」という内容の歌詞やPVにやられた部分が多々あるのではないかと思っています。まあ、「空の太陽が落ちる僕の手にひらりと」という歌詞を「空のポリゴンが落ちる」と聞き違えたりしていて、実際以上に(勝手に)サイバーな歌詞として聴いていた、などというようなこともあったりするような気がするのですが。

またねえ、あんまりそういう言説を聞いたことが無いので僕の妄想に過ぎないかもしれないのですが、このPV、「パトレイバー the movie」の影響を受けてるような気がするのですよ。まず、仮想世界の構造物が「箱舟」っぽい多層構造物である点。最初のサビがおわったあとの地面に向けて銃爪を引くようなPerfumeのフリも、篠原遊馬が非常用の手動点火システムを使うシーンを想起させます。
個人的に一番しびれるのは、警備システム(と思われる)画面の中を、Perfumeの各メンバーを示すネームタグが高速で移動していくシーン。このシーンも、無人のはずの箱舟の中で帆場英一のネームタグが動き回るシーンを想起させます。そんな風に思って見ていると、のっちが野明に見えてしょうがないんだよなあ。まあ、その辺は完全にどうでもいい妄想なのですが(じゃあ書くな)。

とは言え、仮想世界にせよ、帆場の愉快犯的なテロにせよ、ある種個人の世界観を地上のものとして実現しようという、もっと言うと、限定的な範囲での創造主になろうという性質のものじゃないですか。それが崩壊する、もしくは崩壊させる、ということにはある種のカタルシスがあるように思います。積み上げたブロックを突き崩す感じ、ですかね。世界に対して影響力を発揮できることについての確認というか。んで、その欲求と言うのは意外に強いんじゃないかなーと思うんですよ。

古くはラグナロク末法思想大東亜戦争ノストラダムスムーブメント等々、我々人類はたびたび滅びの幻想に耽溺してきました(話が大きくなりすぎて若干腰が引けてまいりました)。字義通りに解釈すれば「滅び」の中には、当然個体としての自分の死が含まれているはずなのですが、こういう幻想を語る際には、あんまりそういうことは意識されません。そりゃそうですよね、「俺は死ぬぜー」なら「ご随意に」ですよ。そうでなく、こういう物語が広く共有されるのは、現世での利益があるからで、その利益というのは価値観が変化することだと思うのです。
あーなんかわかりにくいっすね。例えば、「1999年に人類が滅亡する」という前提を設定すると、長期目標を置いてがんばってる人は馬鹿みたいに見えるじゃないですか。そうすることで「がんばらない」ことが正当化される、というよーな、価値観の変化のことですよ。要は、「現実世界の中の気に入らない部分を、視点の変更で改変するために作られる物語」が「滅び」の物語なんかじゃないかなーと思ったりするわけですよ。自分が死にたいわけじゃなくて、むしろ、死ぬほど嫌な現実をどうにかするための装置な訳ですよね。だから、同じような利害を持っている人のための物語は、魅力的に映るのは道理です。そのあと自分が死ぬとかどうとかいうことは、恐らく考慮されないのです。この場合、実際に滅ぼされようとしているのは、旧来の価値観によって規定される世界観なんでしょうね。

とゆーよーなことをグダグダ考えておりますと、「エレクトロワールド」の女の子によって滅ぼされる世界、という滅びの物語がなんとなーく懐かしく慕わしいのは、思春期の頃の記憶のせいのような気がしてきました。第二の誕生などといわれますように、一度完成された人格を顧みず、生殖のための戦いの始まりに連動して、新たな人格を作ろうとする時期がありますよね。それは旧型人格にとっては明らかに滅びであり、それは概ね、初めて好きになった女の子によってその到来を告げられるわけですよ。「女の子によって滅ぼされる世界」という妄想は単なる妄想ではなく、概念としての「滅び」の原型に近いんじゃないかなーなんて思ったりしているのでした。

まーねー、俺ももうじき40ですから、もうね、そんなにずっと中二的な妄想に浸ってるわけじゃないんですよ。女の子に惚れたくらいでいちいち世界が滅んでたら大変ですよ。妻と娘がおりますしね。
でもなあ、妻と娘に滅ぼされるならそれもいいかって気もするんですよね。


…全然成長してないか。